
【結晶性?非晶性?分かりにくい2つの違いを簡単解説】
※19/9/26 ガラス転移点と融点について誤記があり訂正しました。
プラスチックにはたくさんの分類方法があるが、その中でも重要な2つを紹介する。
この二つを理解することで設計時の材料選択や成形時の条件出し時に大いに役立つ。
【結晶性プラスチックと非晶性プラスチック】
熱可塑性プラスチックはひも状の高分子が絡み合ってできているが、さらに固まるときの性質により結晶性プラスチックと非晶性プラスチックの2つに大きく分けられる。
溶解状態の温度から温度を下げていく状態をイメージしながら考えたい。
溶解状態では分子運動しながら絡み合っているが、温度を下げていくことで分子運動がゆっくりと収まりながら結晶化温度(Tc)にて部分的に整列するものがある。
これを結晶性プラスチックと呼び、ランダムに絡み合ったまま固化するものを
非晶性プラスチックと呼ぶ。
温度が高い状態(溶解状態)では、一つ一つの分子がバラバラに動いているが、
温度が一定の温度(結晶化温度)になると、タイプによっては部分的に手をつなぎ、温度が低い状態では完全に停止しているような状態だ。
この手をつなぐタイプを結晶性プラスチック、
手をつながないタイプを非結性プラスチックと分類している。
材料として結晶化しやすいかしないかは、分子中にかさばる構造がある、分子に枝分かれが多い、など固化する際に結晶として折りたたむことが困難になると、結果として結晶化の度合いが小さくなり非結晶性になる。
【性質の違い】

※詳細はプラスチックの種類によるもので必ずしもこの表のとおりとは限らない
一般に結晶化した部分は分子が折りたたまれ整列するため、体積の収縮が大きく強度も高いとされている。また、結晶性プラスチックでは結晶部と非結晶部の屈折率の違いから内部で乱反射し光を通さないため不透明になる。
さらに結晶性プラスチックであっても結晶化温度付近で急激に温度を下げると、結晶するだけの時間が十分にとれないまま固化してしまうため、結晶化の度合い(結晶化度)が少ない状態で固化する。
この性質を使用してペットボトルは透明度を維持している。
逆に結晶化温度付近の冷却速度が遅いほど、より多くの部分が結晶化しやすい。
そうすると収縮率が高くなり、設計値よりも小さい製品ができる傾向となる。
まとめ
・分子構造の違いで結晶性、非晶性に分かれる。
・2つは全く異なる特性をもつ(表を参照)
コメント
ガラス転移点と融点に関する性質の違いですが、結晶性と非晶性の記述が逆ではないでしょうか?
ご指摘有難うございます。
指摘通り記述が逆になってしまっていました!
ポリメタクリル酸メチルなどの透明度が非常に高いプラスチックは結晶化度がほぼゼロになると考えて良いのでしょうか。