
②PCのシリンダー温度設定で計量部の温度が高いのはなぜか。
(ゲート付近のスラグとハナタレ(糸ひき)、シルバーについて)
私が試験で設定したシリンダー温度は計量部のみならず全体的に通常のPC樹脂の成形条件よりも高めです。
特にノズル温度はメーカー推奨温度よりも高く設定しています。
(ノズル側 330-320-310-300-300 ホッパー側)
なぜこのような設定にしたかというと、PC樹脂で発生する不具合の一つであるゲート付近のスラグ対策の一環としてです。
スラグは減点対象となる不具合の一つですが、完全に無くす事はかなり厳しく、技能士としての腕が試されます。
スラグはノズル先端の冷えた樹脂が原因になって発生しています。対策としてノズルを計量完で後退させて、
ノズル先端の樹脂の固化を防ぐようにしました。しかしノズル先端の樹脂の固化を防ぐにはノズル後退だけでは不十分と考え、
ノズル温度をはじめとするシリンダ温度全体を上げるということに至りました。
むろんこれはシリンダ温度全てを上げる必要はなく、ノズル温度だけ上げればよかったのかもしれませんが、
私は過去のPC樹脂取扱いの実績から全体の樹脂温度が300°以上でも問題がないと思っていましたので、全体的に高い設定となっています。
結果的にはスラグはかなり抑えることができ、打ち切り時間ギリギリまで時間を使いましたが合格することができました。
ちなみにこのスラグ対策ですが、ハナタレ(糸ひき)を毎回とる必要が出てきますので、その辺が大変です。
他の考え方として、ノズルはタッチさせたままで極力サイクルを短くして樹脂の固化を防ぐというのもあるかと思いますが、
ヒケ対策で高保圧状態の為キャビに取られないように冷却時間は必然的に長くなってしまっているので、あまりいい方法ではないと思います。
試験では試していませんが、計量遅延させて樹脂の固化を極力抑えるというのもありかもしれません。
ちなみにハナタレ(糸ひき)対策でサックバックを入れてしまうと、シルバーの発生率が一気に上がりますので、
サックバックは十分注意して設定してください。
コメント
ご返信、ご丁寧にありがとうございます。
PCについて、もう少しご教授頂きたいのですが、
ウエルド・シルバー対策としてご参考にさせて頂き、樹脂温・型温共に高く設定しようと思うのですが、ノズルを後退させた場合、ノズルからのハナタレはどのくらい出るものでしょうか?
(弊社ではPBT成形をよくやるのですが、少しノズルを後退させただけで、ダラダラ垂れてしまうもので…)
糸引きを、ノズルを後退させてノズル側から切ろうと思っているのですが、あまりにハナタレしていると大丈夫なのかと。
イメージ的にはPBT樹脂よりもハナタレが発生します。
私は綿手袋をしながら作業していたので、
製品を取る→ハナタレをノズル側から手で取る→扉を閉めて半自動スタートさせていました。
ちなみにどちらの件で受験予定ですか?
私は埼玉ですが、ハナタレが多い、少ないで減点ということは無いと
検定員の方がいっていたので大丈夫だと思いますよ!
私は、大阪での受験になります。
去年の合格率が10%くらいなので、そんなに1級は難しいのかと不安になっています(2級はそこまで難しくはなかったので…)。
時間のペース配分と、動きの流れの、イメージは出来ていますが、はたまたどうなる事か。
時間配分と全体的な流れがイメージできていれば問題ないと思います。
私は2級を受けなかったので、2級との比較はできませんが、
一番苦戦したのは最初のPE→PSのパージです(笑)
パージで3キロ消費して、その分時間もかかってしまいました。
2級を既に持ってらっしゃるということでその辺は問題ないと思いますので、
PCの条件出しを如何に行うかですね!
あとはレポート!歩留まりや収縮の計算は、
自動パージしてる時などの隙間時間にした方が最後で楽だと思います。
私は製造部門ではないので月に数時間しか成形機をいじらないので、
時間的にギリギリになってしまいましたが、
日常的に成形している人ならもう少し余裕をもってクリアできると思いますよ!
トラブっても落ち着いて焦らずやれば難しくはないと思います!
試験の手ごたえや結果が出たら教えて貰えると今後のブログ運営の励みになります(笑)
本日、試験本番です!
あと2時間後には、成形機の前に立っています(笑)
緊張がものすごい…。
ちょうど今試験中ですかね?
持てる力を発揮できるといいですね!
ファイトです!!
こんにちは。
ご返信が遅くなりました。
先日、技能試験終了しました。
手応えとしては…かなり厳しいです。
試験機を触るのが説明会含め2回目なのもあり、操作に手間取ってしまいました。
特に注意・指摘される点はありませんでしたが
成形品PS…ウエルド、ヒケはほぼ抑えましたが、2級の時に出なかった箇所にクラックが出てしまい、時間的に間に合わず半数はクラック有の状態で提出。
PC…初めての成形でしたが、思ったより上手く出来ました。コールドスラグ、ウエルド、側面のヒケはほぼ抑えましたが、ゲート裏のヒケが抑えきれませんでした。後、気になる点として、ウエルドラインが射出速度を上げると改善しますが、射出速度を上げるとウエルドラインの横の方に白いモヤモヤが発生。ちょうど中間のところで成形しましたが、これはガスの関係なのでしょうか?
パージは
PE→PSは2キロくらい使って、少し残ってましたが、成形しながら抜きました。
PS→PCは問題なし。1キロくらいで抜けました。
PC→PEは、15キロ使ってギリギリ抜けました。後で検定員に聞いたら、『14キロくらいで抜け始めてたよ』との事でした(笑)
時間は打ち切り5分前に何とか終了。
こんな感じです。
試験機が3台しかないので受験者3名での試験でしたが、他の2名の方が受験5回目・6回目の方々で(内1名の方は今回打ち切り失格になっておられました)、なかなか厳しい試験だと実感しました。
一応、打ち切りにならず、試験として成立してるので、何とか合格していればいいのですが…。
実技試験お疲れ様でした。
PS樹脂のクラックということはEP付近のモノですかね?
途中で気が付けたのがせめてもの救いでしたね!!
PCの白いモヤモヤですが、射出速度を上げたことによるガスの可能性が高いので、
ウエルド形状とモヤの間をとった条件でまず問題ないかと。
クラックがどの程度減点対象となるのか分かりませんが、
他は特に問題ないと思うので合格の可能性もあると思いますよ!
最後のPE色替時、温度は下げながら材料替えした方がいいのですか?
マイストロ様 ブログ閲覧有難うございます。
シリンダー温度はPCのままで問題ないはずです。私はPCの温度のままPE材料替え、成形を行いましたよ。
(仮に設定温度を下げてもそこまで下がるのに時間がかかり試験時間オーバーの可能性が出てきてしまうと思います。)
温調機の方の設定温度は型おろしのことを考えて25度の設定に変更しておくことをお勧めします。