
⑨速度と圧力の関係
※【射出成形機の圧力と速度の関係について】と同じ内容です。
射出工程には圧力と速度が存在する。
この関係を簡潔に説明すると
【速度が主体で、その速度を出すために圧力が存在する】
といったような感じである。
また保圧工程にも圧力と速度が存在する。こちらの関係は
【圧力が主体で、その圧力を出すために速度が存在する】と逆になる。
分かり易く例えると

射出成形も同様で、最初は速度で制御し(これを射出)
そしてある程度詰まってきたら今度は力で(これを保圧)で押し込みます。
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上記の通り射出工程で重要視すべきは射出速度である。
具体的には例えばとある製品の成形条件の速度を25、圧力を50に設定したとしよう。


指定した速度50で射出した場合の、圧力の実行値が45だとすれば、
圧力の設定を45にしても50のままでも成形品に変化は起きない。

しかしこれを圧力30にしてしまうと、設定した速度に到達しないため、
きちんと充填されず、ショートなどの不具合が発生してしまう。

では45で十分なところを100まで上げるとどうだろう。
これもまた変化は起きない。

しかし、圧力を必要以上に上げるということは、なにかの拍子に流れが悪くなった場合、
高い圧力で射出されてしまうので、バリやオーバーパック、金型破損に大きく影響する。

ではどのような時に流れ(流動性)が悪くなるだろうか、
流動性を決めるのは、金型温度及びシリンダー温度の2点だ。
分解温度を超えない限りは、型温/シリンダー温度ともに高い方が流動性が増す。
例えば計量条件が安定していなくて、計量時間にばらつきが生じてしまっている場合、
サイクルが長くなってしまえば、金型温度は若干下がり流動性を下げる方向になる。
さらにサイクルが長くなることによって、ノズル部の樹脂が固まっててきて、流動性が悪化する。
そうなると射出時に高い圧力が必要となってしまう。
では圧力の設定値を45にすればいいと思うかもしれないが、これもまた問題がある。
成形時いくら優れた条件を出しても、環境温度の変化などの微妙な変化は避けることが出来ない。
実行圧力を基に設定圧力を決めるわけだが、これをどの程度見るかは人ぞれぞれな部分もあり、
製品形状や使用材料、金型構造を基に、決めていく必要がある。
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