
⑳PC 糸ひき/スラグ
PC材での成形時の壁として、ゲート付近のスラグの発生があります。
スラグの根本的要因はノズル先端の固化気味の樹脂(=コールドスラグ)が射出される為です。
サイドゲートなどの金型ならコールドスラグウェルが設けられているので、
あまり深く考える必要はないですが、試験で使用する金型はダイレクトゲートなので、
コールドスラグがそのまま製品に反映されてしまうわけです。
スラグは減点対象ですが、ゼロに抑えるのは非常に困難です。
可能な限り小さくする必要があります。
ではこのスラグをいかに抑えるかを考えていきましょう。
スラグは前述の通り冷えて固まりかけた樹脂が要因なので、
可能な限りサイクルを短くする必要があります。
しかし闇雲に冷却時間を短くしてしまうとキャビ側へ製品が取られたり、
製品が反ってきたりきたり他の点で悪影響を及ぼしますので、
そういった点が問題ないギリギリの冷却時間の設定が求められます。
サイクル短縮以外のスラグ対策として、上げられるのはノズル後退です。
計量完了でノズル後退するように設定して、意図的にハナタレをさせます。
こうすることで次のショットの際に固化した樹脂の巻き込みを最少に抑えることが出来ます。
デメリットとしては毎ショットごとにハナタレをとる必要がありますが、
私自身この方法を採用して試験に合格しました。
樹脂温度も重要なキーポイントになります。
例えば樹脂温度を低めに設定してしまうと、せっかくノズル後退させていても、
ハナタレ量が少ないので、固化気味の樹脂が十分ハナタレとして排出されず、次のショットで出て来てしまいます。
その為樹脂温度は高めの設定の方が、ノズル後退させて意図的にハナタレさせる目的と一致しますので、ノズル後退を採用される場合は高めの温度設定をお勧めします。
コメント
PCのスラグ対策で、ノズル温度あげてハナタレ取るの時、軍手でノズル触ってもいいのですか?
逆にノズル後退しますがハナタレしない条件で糸引きぐらいとるように設定した場合スラッグは、抑えられますか?
中島様 ブログ閲覧有難うございます!
軍手について
試験終了後の試験官の総評の際も、特に指摘は受けませんでしたので、軍手を付けたままでハナタレを取って問題ないはずですが、受験する都道府県によって差がある可能性もありますので、事前にそのような場合は軍手を付けたままでいいか確認をお勧めします。
ハナタレについて
私の実力不足もあるのかもしれませんが、ハナタれしない程度まで温度を下げ気味にしてしまうとスラグの解決は厳しいと思います。もちろん樹脂温度と成形条件を微調整していけば落としどころにたどり着けるかもしれません。しかし試験は限られた材料と時間の中でベストを出す必要があります。試験中に樹脂温度を変動させるのは材料的にも時間的にも非常にリスキーです。万が一温度が低い状態でスラグの発生が止まらなかった場合、樹脂温度を上げて再度条件を振っていく必要があります。この段階で材料/時間ともにかなり浪費してしまいます。最悪どうにもならなければ、結局は樹脂温を上限いっぱいまで上げてハナタレさせながら成形する必要が出てくるわけです。
受験する皆さんがどのように試験の流れを考えるか次第なのですが・・・
私は以上を踏まえて最初から樹脂温度を高温にして試験に挑みました。
参考になれば幸いです。
すみません教えてください。ノズル後退をやったことがないので全然わからないのですが
ノズル後退させるのは何秒ぐらい必要ですか?
はなたれ処理する場所は金型・ノズルの間でやるのでしょうか?
次の生産時まではなたれはしていないのでしょうか?
できるだけ詳しく教えていただければ幸いです
ノズル後退での成形方法がやったことがないので、詳しく教えていただけないでしょうか?
後退時間は?
次のショットまでにはなたれがおきないのか?またははなたれしているときは?
等やり方・注意点をお願いします
宮地様
ブログ閲覧有難うございます。
管理人のtaguです。
中々返信が出来ずにすみません!
ノズル後退ですが成形機の仕様にもよると思いますが、
2~3秒で十分かと思います。
ノズル後退させていますので、ほぼ毎ショットごとにハナタレが発生し、
毎ショット取り除いてやる必要があります。
ハナタレの処理はご指摘の通り、金型とノズルの間で行います。
同然ハナタレと取り除いた後も、ハナタレしてきますので、
ハナタレ処理したらすぐに半自動のスタートをしないとうまくいきません。