
⑬型締め力の計算方法と目安
技能検定1級実技試験ではPS樹脂とPC樹脂で成形を行う。
今回は型締め力の計算方式と目安について説明したい。
1級受験者ならばすでに知っていると思うが、
型締め力はその名の通り金型を締める力である。
弱すぎれば射出圧力に負けてPLが開いてしまう。
しかし強くしすぎれば金型の破損/摩耗に関わる。
当然この型締め力の設定を間違えれば合格することはかなり困難になってくる。
型締め力は2プレート金型と3プレート金型では計算方法が異なるのだが、
今回は試験で使用される金型が2プレート金型なので、そちらだけ解説する。
2プレート金型の場合、型締め力の計算に関わってくるのは、
下記の3点である。
Ac:キャビティ部の総投影面積(㎠)
Ar:ランナ部の等投影面積(㎠)
Pm:キャビティ内平均樹脂圧力(㎫)
計算式としては
必要型締め力=(Pm×Ac)+(2Pm×Ar)/10 となる。
キャビティ内平均樹脂圧力は使用する樹脂によって異なり、
目安としては下記のようになる。
樹脂 Pm(㎫)
PS、AS 24.5~39.2
PA、PP、PE、ABS 29.4~49.0
POM、PMMA、34.3~58.8
PC 39.2~78.4
これを当てはめて計算すると、
PS樹脂の場合は500~600㎫、PC樹脂の場合は700㎫程度が目安となる。
コメント
読ませていただき、とても参考になります。この記事は低圧型締め力の事でしょうか?PSからPCに変える時に低圧型締め力も変えなければならないということなのでしょうか?
た 様
返信遅くなりすみません。
この圧力は低圧型締め圧力ではなく、
ロックアップ時の型締め圧力です。
低圧型締め力に関しては、PS→PCへの切り替えの際に変更する必要はありません。
しかしPC成形の際は型温が高くなっていますので、金型が若干膨張している状態です。
その為PSよりも低圧型締め力を上げないと型が閉まらないこともありますので、
そういった際に低圧型締め力を少しずつ上げる必要がありますね。