
【分かりにくいアニール処理(エージング処理)を分かり易く理解するためのまとめ】
アニールとは「樹脂が冷却する過程で生じた歪みをプラスチックの応力緩和特性を利用して、
加熱することにより成形時に発生した歪みを低減させる方法」
簡単にいうと成形品をそれぞれに適した温度で温めて
製品の反りや歪みを取り除いたり、樹脂の特性を伸ばしたりすること。
通常はガラス転移温度(Tg)に近い高い温度で処理するが、
一般的には結晶性と非晶性の違いによって次のようにします。
・非晶性プラスチック(非結晶性プラスチック)
ガラス転移点(Tg)より20~30℃低い温度または荷重たわみ温度より5~10℃低い温度
・結晶性プラスチック
ガラス転移点(Tg)よりも高い温度で加熱をする必要がある。
使用時の寸法安定性を確保するには、使用する最高温度より10~30℃高い温度
アニール処理方法
方法としては熱風加熱炉、オイル・熱水槽および遠赤外線加熱などがあり、材質・形状などによって適した方法を選択する必要があり、さらに処理時間にも注意が必要である。
どのような目的でアニール処理を行うかによっても温度や方法、時間は異なってくる。
また同種の材料でもメーカーやグレードが違えばガラス転移点(Tg)などは異なるので注意が必要で、
特にガラス繊維などを混ぜた強化グレードでは大きく異なるので留意しておく必要がある。
アニール処理の目的
- 結晶化度を高め、物理的安定性、化学的な安定性を向上(強度や剛性など)
- 残留応力の低減による使用時のクラック発生防止
及び 形状の安定化(変形、そりの発生防止)
- 幅広い使用温度環境(使用雰囲気)における寸法安定性の向上
という目的の基で行われることが一般的である。
※アニール処理を行うことにより、結晶化が進みアニール前より寸法が
小さくなる傾向にあり、それを利用して寸法調整の為に行うこともある。
(特に結晶性樹脂は寸法変化が大きい。)
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